2016年03月06日

自助努力のすばらしさ

自助努力のすばらしさ

ドイツ観念論哲学のヘーゲルの崇拝者のひとりである、エストニアの貴族ボリス・ド・イクスキュルという人がいました。
もともとロシアの騎兵隊長でありましたが、フランス軍との戦いの為、心身が疲労し、戦争による過労をいやすために、軍隊を退いて学問をしようと試みました。

そしてヘーゲルの著作をなにも読まないうちに、この大先生についたら、短期間のうちに学問の精髄を学び取ることができるであろうと想像し、ハイデルベルクにやってきます。

いよいよ空想に描いていた大先生を訪れることにし、内心はおどおどしながらも外見上は自信ありげな様子で教授のところに出かけていきました。

さぞかし近寄りがたいほど偉大であろうと思っていたヘーゲルは、何の飾りけもなく優しく親切に対応してくれます。
そんなヘーゲルに惹かれて講義の手続きを済ませると、行き当たりばったりの本屋に飛込み、ヘーゲルの著書を買い込みます。
自宅でソファーにでも寛ぎながら、その書物を開いてみましたが、読めば読むほど何を言っているか分からなくなり、たった一つの文書を前にして数時間も苦しんだあげくに、嫌気がさして本を放り出したりします。

講義には出てはみたものの、自分でノートしたことすら理解できずにいましたが、これは予備知識がないからだと悟ります。
思い余ってヘーゲル教授のところに出かけて行って「ヘーゲル教授の書物も講義もさっぱりわかりませんがどうしたらよろしいのでしょうか」と尋ねました。
ヘーゲルは彼の言葉をじっと聞いて、懇切に指示を与え、準備的な勉強をするためにいろいろと忠告してくれました。


という話が残っています。
ヘーゲルの人柄の一面をのぞかせる出来事であります。ヘーゲルは人格的にも素晴らしいと思えますが、ボリス・ド・イクスキュルが軍隊から哲学を志しながら、自分のわかる範囲で努力している姿に感じるものがありました。

人間はいくら年齢を重ねても、思いを変えた時点で人生のやり直しがいつでもできるのであると思えます。
仏教的には、ある一定の年齢まで行くと魂的に有の状態になり、今世、地上に生まれて身に付けた傾向性が魂の深い部分までしみ込んで固まってしまい自分を変えようとしなくなると教わっています。
常に自己変革をするということは、ヘーゲル的に考えますと、自分の中から、自分を否定し、自分に対立するものを生み出し、自分自身の、対立・否定関係を克服することによって、いっそう高次の段階に進むという弁証法に則って発展していくということです。
自己の否定とは自分の自己限定のことだと理解しています。

例えば、自分が偉大な存在だと思っている方もいるかもしれませんが、釈迦の本心にも書かれていますように、天使や光の指導霊になる為には、大変な努力と実績が要求されます。

そのような方たちを目指すというのであれば素晴らしいことだと思いますが、現時点で自分がそのような偉大な存在だと思い込んでいたら慢心して相手を見下し努力しなくなり自分自身の進歩がなくなってしまいます。

自分を変えるのに、遅すぎることはないと一般的にも言われていますので、常に自分自身の自己規定、限定を否定しながら、今の自分より一段上を目指すことが大切であると考えます。

ヘーゲルの一例を引いて、ヘーゲル自身の人格の素晴らしさも書きましたが、総裁先生のある著書で、その人自身の悟りが本物かどうなのかを、イミテーションとダイヤモンドの例を使って書かれていました。
自分の現時点での実力以上に自分を良く見せようとするのは、結局、自分自身に確固とした自信がなく、自分を必要以上に光を強く見せようとして、外に向かって自己主張しているイミテーションのようでありますが、結局イミテーションとダイヤモンドの価値は全然違うのと同じように、必ず実力以上に自分を良く見せようとする行為は、相手に見抜かれて、信頼を失っていきます。



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posted by ガンちゃん at 23:04 | Comment(0) | 宗教・思想について | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

共産主義による私有財産の否定は国力を弱める

共産主義による私有財産の否定は国力を弱める

社会主義思想が登場する以前は、どこの国でも私有財産は至上の価値があるとされていました。国家が私有財産を没収するということは、よほどのことがないかぎりありえませんでした。

富や財は良きものであるという東西の常識を変えてしまったのが、社会主義思想・共産主義思想であります。

19世紀頃に始まった産業革命よって、世界中に貧民層が生まれてしまいます。それによって、資本主義が進めば進むほど貧富の格差が広がってしまうと思われてしまいました。
そのような時代の流れの中で、私有財産は悪という社会主義思想が正しいと思われてしまいます。

1917年にロシア革命によって世界に初めて社会主義経済、私有財産や相続権を否定する国が誕生したのです。
ロシア革命では、ロマノフ王朝の皇帝一家は一人残らず殺されてしまいます。皇帝の馬まで殺されたというのですから社会主義は恐ろしい思想であると思います。20世紀の文明にあって、国の皇帝が皆殺しにされるということはかつてなかったことです。

日本は皇室を尊敬する国でありますので、共産主義とは、このような恐ろしいことをする人達かとおそれおののきました。1925年に治安維持法が制定されたのも、根本にはこうした恐怖心があったようです。
渡部 昇一氏参照

ロシアがソ連となりスターリンが、近代軍事力をつくり上げつつありました。
しかも共産主義者がシナ大陸に浸透し、シナ民族の反日思想として結実していきます。
日露戦争以降、安定したシナ大陸における日本の権益を覆すことはソ連共産党の目的でもありました。

その時スターリンは、「これで日露戦争の仇を討った」という趣旨の発言をしています。
当時の日本共産党はソ連のコミンテルンから「天皇制打倒」という指示を受けていました。天皇制打倒ということは、ロシア革命でいえば、天皇をはじめとする皇族を皆殺しにせよ、ということですので、日本人は日本共産党の目指している天皇制打倒がいかなる意味を有しているかを理解していました。

そうしたなかで、私有財産を否定する社会主義思想の登場で、日本やヨーロッパにも大きな影響を与えることになります。」
ドイツは第一次世界大戦の敗戦国で経済が乱れに乱れ、ハイパー・インフレーションが起きていました。それに加えてソ連の影響を受けて共産主義勢力が力を伸ばしつつあります。こうした政治的経済的な混乱の中で登場したのがヒトラーです。
ナチスの正式名称は「国家社会主義ドイツ労働者党」であり、国家社会主義を目指した政党でありました。ヒトラーは政権を獲得した後に、社会主義的政策を実施していき、徐々に生産手段を国有化していきました。

一方イギリスでも国家社会主義的な傾向が広がっていきました。イギリスの知識人の中にウェッブ夫妻という社会主義者がいますが、夫妻はロンドン・スクール・オブ・エコノミックス・アンド・ポリティカル・サイエンスとう学校を創設して、社会主義圏教の牙城にしています。渡部氏 参照

この学校は、社会主義の政策の立案・立法化し、それを行政に実現させうる人材を育成するという明確な理念をもってつくられた学校で、そこの卒業生がイギリスの労働党の知的な支柱になります。
このウェッブ夫妻の活動で、イギリスの知識層がソ連を好意的に見てしまったことは、後の悲劇の原因であると思えます。

さて、戦争で負けた西ドイツは戦前の国家社会主義の反省から、西ドイツ初代首相のアデナウアーは徹底的に自由主義政策をとります。一方イギリスは勝っただけに社会主義思想が残ります。

イギリスは上記で書きましたように、社会主義に対して肯定的に見ていましたから、戦後すぐの選挙で社会主義を奉じる労働党が圧勝し、銀行、石炭、鉄道、航空、電気、ガス等が次から次へと国有化されていきます。「揺りかごから墓場まで」といわれるような徹底した社会福祉政策が行われていきます。

その結果どうなったか・・・イギリスは国力をみるみる失って、「英国病」と呼ばれるような事態に追いこまれてしまいます。

イギリスが私有財産を否定し敵視する政策を行った結果です。

私有財産を敵視する考えの背後に隠れているのは、嫉妬です。お金持ちを嫉妬し、引きずりおろそうとする考えは地獄界そのものです。



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posted by ガンちゃん at 00:44 | Comment(2) | 政治・経済 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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