哲学という言葉だけで関心のない人は拒絶反応がおこります。
しかし、唯物論を土台として構築された哲学は別にして、霊的世界を知った上で、人々に真実の世界観を伝えようとした哲学は、人類の宝であると思えます。
それゆえに2000年以上、語り継がれてきたのだと思います。
自然哲学の祖はタレスであるといわれています。
水が原理であると述べた人だと思いますが、ヘーゲルは「本質は形なきものである。これがタレスの原理の核心です」と述べています。
確かに水は霊的な本質を表現していると思えます。水は温度によって気体、液体、固体の物質の三形態に変化しますが、水という本質は変わりません。
霊体も人間として肉体に宿り(固体)、やがて地上を去り目に見えない存在(気体)に移り変わっていきます。
私達が観察できる自然界から確認できない霊的世界を考察していくのが哲学の一つの使命かもしれません。
ヘラクレイトスは、感覚的なものの一切は流転し、したがって感覚的な学問は存在しえない。そこで理念が必要になってくるといわれていたと思います。
帰納的な推理によって普遍的な理念を明らかにしようとされたのかもしれません。
また、仏教でいう中道や空の思想がヘラクレイトスの哲学と共通しています。
仏典には、「あらゆるものには本体がなく、その意味で、ものは空です。幻術師がつくり出した幻が、どれほど大きな光景であり、千変万化しようとも、本体としては存在しないのと同じであります。独自の性質を持たない無自性なものです。」と書かれていますが、万物は流転するという意味と同じであると思えます。
ヘーゲルはプラトンの哲学について、「かれの作品にはヘラクレイトスからの引用がたくさんあります。プラトンは若い頃の哲学の教養を間違いなくヘラクレイトスから得ているので、ヘラクレイトスをプラトンの師とよんでいいほどです」と述べてうえでヘーゲルご自身も「ヘラクレイトスの命題で、私の『論理学』のうちにとりいれなかったものは一つもありません」と言わしめています。
仏教との関係でヘラクレイトスの思想を考えていきます。
ヘラクレイトスは、「生まれてから、生きていくつもりになるが、それはまた、死を覚悟することなのだ」
と言われていますが、善勇猛般若経には、「出現する性質のものは、なんでもすべてが滅する性質をもつ」「出現の本質、それはおのずから破滅することであり、それが『滅』である。」
「生起と同時に滅である」と書かれています。
これはすべての存在は、滅びを内包しているということを述べていると思いますが、ヘラクレイトスは霊的世界を知っていたのではないかと思います。
ソクラテスやプラトンが霊的世界を実体験し真実の世界観を対話形式で明らかにしようとしています。
プラトンの著作である国家やパイドンには霊的世界について非常にわかりやく説明されています。
総裁先生の『ヘーゲルに聞いてみた』には観念論哲学とは目に見えないものを言葉で表したものと言われています。
結論として、宗教、哲学、思想、学問の使命は真理を明らかにすることであり、すべての人が入りやすいところから、真理の探究をすることが大切なことであると思います。
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