ギリシャのプラトンは、青年の頃から政治家を志し、公共の為に働きたいと考えていたようですが、いろんな苦い経験を積んだ後、40歳ころになって政治をよくする鍵は『哲学』以外にないと確信しました。
国事や個人生活においても、正しいありようというものは、哲学からでなくして見定めるものではないと、正しい意味において哲学をたたえながら、言明しています。
人間がいろんな禍から逃れる為の政治家の条件として、正しい意味において真に哲学しているような人物が政治的支配の地位につくか、現に国において政治的権力を持っている人物が、真に哲学するような人物になるかのいずれかが実現しないかぎり、人間のいろんな部類の種族が禍からの逃れることはできないという意味のことを述べています。
プラトンは正義と善についての問題を解くために、哲学の重要性を語りつつ、政治と哲学が一体にならなければ、国民の幸福は実現しないであろう、人々が真に幸せになるためには哲学が必要不可欠であるという結論に到達したのだと思います。
人々が善を知らないうちは、正義や美について十分に知るようにはならないとして、人間が知るべき最大のものとは何かと言いますと、「善のイデア(実相)こそ、学び知るべき最大のもの」であるとしています。
これは、地上に限定された価値基準や人間の考えた法律より、優先するものがあるということです。それは、神の掟、あるいは仏の法ということになるのでしょう。
霊的世界における価値基準をこの地上においても実現するという理念かもしれません。
理想の国家、正義が実現された政治の反対として、悪政について考えてみます。正義と反対の政治を知ることで、正しさがわかる場合もあると思います。
4つに分類して考えてみます。
1つは、智慧の支配が覆されて哲学のかわりに職業軍人が優位にたつ国家です。そこでは勝つことや名誉を得ることが、人々の行動原理になっています。そして不徳の軍人は金銭を愛し、ひそかな快楽を求めるという傾向があります。そこから第2の国政に移行していきます。それは富が唯一の価値基準となり行動原理になります。形式的には寡頭制で実質的に金権政治が行われる国家です。
富者支配の国においては、貧富の差が激しく、一つの国家というよりは相対立する分裂した2つの国になってしまい、貧困の極、人々は乞食になるか犯罪人になるか、どちらかに追いつめられてしまいます。
第3の民主制は、この冨者の支配を覆し、貧者が発言権を持つ改革の産物で「自由と平等」がその基本原理となります。そこでは各人が好き勝手な生き方をし、価値の差別をせず、建前上なんでも平等にあつかいますので行動が気まぐれで無原則になり秩序がありません。
人々の不必要として抑圧されていた欲望が解放されて、平等な取りあつかいをうけ、あらゆる非行と不道徳が自由の名のもとに保護されてしまいます。
その結果として第4に、下等で変質的な人間による一つの独裁政権を樹立するというような最悪者の支配が実現してしまいます。
国民を代表とする民主派として出発しながら政権獲得のあとでは、すべての同士を粛清し、すべての優れた存在を抹殺すつという暴挙に出ます。その支配は最優秀者支配制というプラトンの描いた理想国家と対極を意味します。
プラトンはこれら4つの国家体制において、彼自身が生きていた時代の政治の現実を体験しています。
スパルタの武断政治、彼が青年時代に経験したペロポンネソス戦争における民主派と寡頭派の争い、内乱と革命、独裁政権の樹立はいずれも、一連のつながりがあり容易に相互に転換しうる全体的な事実であります。国家プラトン 中央公論社 参照
プラトンの考えは、正義とは外部のことではなくて、内部からのことでなければなりませんでした。
内部の国政と外部の国政が一致することが、私達の幸せにつながると考えていたようです。
正義と不正の対決とは、哲学と知性が支配する国と無知と欲望の支配する国の対立ということになるのかと思います。
そしてプラトンのすごいところは、「最終的に霊的な存在である人間」という視点をはずさないというところだと考えます。
プラトンは「およそ幼少から老年にいたるまでの時間の全体なんて、全永劫の時間から比べるならば、ほんのわずかなものにすぎない。いやしくも<不死なるもの>がそんな短い時間の為に真剣に関心を持つべきものだと思うかね?全永劫の時間のためにこそ、その関心は向けられるべきものではないか」
と語られています。
人間の存在はこの地上における生がすべてではないということをいわれています。
『国家』には洞窟の比喩やエルの物語が書かれていますが、霊的観点を忘れた国家論は真実の国家とよべるものではないと思えますし、仏国土ユートピアからはほど遠いと言えると思います。
現代において宗教法人 幸福の科学、宗教政党 幸福実現党こそが現在および未来を照らす光であると確信します。
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