2013年04月24日

哲学的認識2 時間・空間と宗教的愛の関係について

哲学的認識2 時間・空間と宗教的愛の関係について

時間と空間について物理学的観点ではなく、哲学的な観点で考察しながら、宗教的な愛との関係性を考察していきたいと思います。

キリスト教父アウグスチヌスは『告白』の中で次のような時間論を展開しています。
「もし、時間が恒常であるならばそれは、時間ではないであろう。なにものも過ぎ去るものがなければ、過去という時間は存在せず、また、なにものも到来するものがなければ、未来という時間は存在せず、なにものも存在するものがなければ、現在も存在しないであろう。過去はもはや存在せず、未来もまた存在しないのであるから、どのように存在するのであろうか。また、現在も常に現在であって過去に移り変わっていかなければ、それは時間ではなく、永遠であろう。
現在はただ過去に移り変わることによってのみ時間があるのならば、すなわち時間は、存在しなくなるということによってのみ存在すると言って間違いないであろう。
時間は、過ぎ去っているとき知覚され測られるが、しかし、過ぎ去ってしまったら存在しないので知覚することができない。
過去、現在、未来とは心の内に存在し、心以外にそれを認められないのである。
すなわち過去のものは現在の記憶であり、現在のものは現在の直覚であり、未来のものは現在の期待である。私は時間を測ることを知っている、しかし私は、未来を測るわけではない。未来はまだ存在しないからである。また、現在を測るわけでもない。現在は、どんな長さにも広がりを持たないからである。
また、過去を測るわけでもない。過去は、存在しないからである。それでは何を測るのか?現に過ぎ去っている時間を測るのであって、過ぎ去った時間を測るのではない。」
と述べられています。時間を心の問題としてとらえています。

カントは以下のように時間、空間に対して考察しています。
「空間はアプリオリな、必然的表象であり、一切の外的直観の根底に存在する。空間の中に対象が存在しないと考えることは、さして難しくないが、しかし、空間そのものがまったく存在しないと考えるのは不可能である。だから、空間とは現象に依存する規定ではなく現象そのものを可能ならしめる条件であり、外的現象の根底に必然的に存するアプリオリな表象である。
空間は純粋直観である。空間は感性の主観的条件であり、この条件においてのみ外的直観が可能なのである。
時間は一切の直観の根底に存する必然的表象である。現象を時間から抜き去ることは格別、難しくないが、しかし、現象一般に関して時間を抜き去ることは不可能である。時間はアプリオリに与えられているのである。時間そのものは現象を可能ならしめる普遍的条件として、除去せられ得るものではない。」
時間も空間も、人間の認識や知識、経験に関係がなく、必然的、先天的に存在するもの。
先天的と言われるものは、経験的認識の根本的な前提条件をなす普遍妥当的な認識のことです。

また、シュタイナーの時間に対する認識は以下のような内容であると理解しています。
「存在の本質が物質の世界に現れでた瞬間に時間が始まります。時間はいつ始まるか?それは、本質が現象化する瞬間であります。時間のプロセスの中で本質が次々に顕現していく。物質界に自らを現すのと時間が始まるのは同じです。」
本質的(イデア)が現象化する瞬間に時間が発生します。その意味でそれぞれの存在の違いによる固有時間を言っているのではないかと自分は理解します。

ブラヴァッキーは以下のような説明をしていたと思います。
「空間とは空虚な何かではなく、力に満ちた実体であります。空間とは存在への意志である。そこに何か存在するとき、存在しようとする意志が働いています。」
意志とはエネルギーの方向性であり、偶然に存在するのではなく、存在するときにエネルギーの作用があると考えます。

また時間とは、存在の運動形式であり、時間は意志が表象化するまでの間の期間とも説明されています。

時間と愛の関係を考察しますと、時間とは高次元から下次元に流れるエネルギーの大河であると自分は考えています。
現象が常に変化するということは、エネルギーの消費を意味していると考えます。現象の変化が大きいということは、短い時間の幅で大量のエネルギーを消費しているということであり、現象の変化が緩やかということは、ゆっくりと少しずつエネルギーを消費していることであると思います。
例えば、タンクに10リットル分のガソリンがあり、1秒間に全部流して火が引火すれば、10リットル分の炎が発生(現象の変化が激しい)しますが時間は1秒間です。1秒間に1リットル分ずつ流して引火すれば、1リットル分の炎(現象の変化が緩やか)が発生しますが、時間は10秒間に伸びます。
高次元から流れるエネルギー(愛の大河)が時間の本質で、エネルギーの供給により存在が可能ならしめていると考えます。

時間とはエネルギーの流れであり、そのエネルギーによって存在があるということは、時間があっての空間(存在)であると結論づけます。

我々が時間と認識しているのは、エネルギーの流れであり、存在の根拠です。
宗教的には時間のことを愛や慈悲と読んでいるのではないでしょうか。
それは、時間によって空間をはじめ、すべての存在をあらしめているからです。
この宇宙は、愛によって成り立っています。



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2013年04月23日

哲学的認識1 思考と魂の成長について

哲学的認識1 思考と魂の成長について

魂の成長について考えてみます。
ヘーゲルは、動物にも備わっている魂を、精神に作りかえるのは、思考の働きであると述べています。思考内容こそ人間の本質であると考えることができます。
我々の目の前に事物が謎めいて現れるのは、事物そのものの成立過程に立てあっていないからであり、思考することで、初めて成立過程を考察することが可能になります。
私達はまず、五感を通して事物を観察し、知覚内容を得ることができます。しかし、知覚された事物は無秩序でバラバラな混沌とした状態です。その無秩序な知覚内容を統一的にまとめあげるのが、思考であると考えます。
知覚内容は思考を通して、概念と結びつけられます。概念から照射する光で照らすことにより、初めて知覚内容に意味付けがなされることになります。知覚内容は概念と思考を通して関係づけられることで初めて現実的なものになります。
しかし、観察による知覚内容が増えていく過程で、最初にあった思考内容と、矛盾し対立が生じてきます。知覚内容の範囲が広がるにつれて、これまで信じていた世界観、認識を訂正しなければいけなくなります。
新たな知覚内容に対して、今までの概念では、意味づけが出来なくなり自分の内面に対立が生じてきます。この対立・矛盾を克服していくことにより、新たな概念が形成されていくことになります。
対立を止揚統一していく仮定こそが魂の進化、成長なのであると考えます。
このように対立矛盾を弁証法的に統一する過程で、より高度な概念が形成されていくと思われます。

知覚内容は概念によって意味付けがなされ、概念は知覚内容によってより高度化していくことが可能であると考えます。
概念が高度になる過程で、観察による知覚内容が変化していきます。私達は対象を観察する時に、感覚器官を通して知覚します。
しかし、この知覚内容は身体組織の機能・性質に依存したかたちで知覚されます。
眼の器官、耳の器官は複雑な機能を有しているため、神経を通して脳に伝わる間に、情報が変化してしまい、対象をありのままで観察しているとはいえません。例えば、対象物が赤く見えたり、味が甘かったりするのは、その物自体が本質的に赤色であるわけではなく、眼の機能・性質に依存した見え方をしているにすぎません。感覚器官から得られる知覚内容は、身体の性質に依存しているため、事物の本質をみているわけではなく、対象と感覚器官との関係を認識しているにすぎません。
また、感覚器官は不完全なために、総体の中の一側面、断面しか確認できません。感覚器官でとらえることのできる現象は、変転変化するために限られた時間の幅で、これが真実であると認識してしまうのは過ちであると考えられます。
例えば、種から芽がでてきてやがて、花が咲きますが、種だけをみてこれが花の本質だと認識したらこれは過ちになります。
いずれにしても、知覚内容は思考を通して概念と結び付けることなしに、現実を認識することができません。
花の概念を認識するには、まず花の知覚内容を持たなければならず、その後に、概念の総体の中から特定の概念を取り出してきて、知覚内容に意味づけを与えていきます。


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posted by ガンちゃん at 17:53 | Comment(0) | 哲学的認識論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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