不況に苦しむアメリカが、打開策としてインフレ目標の導入に踏み切ることを検討しています。「インフレ目標」政策とは、中央銀行が物価上昇率に一定の目標を定めることを指します。
様々な金融政策を通じて市場への通貨量を増加させて、マイルドなインフレを起こす政策ですが、現在では1990年にニュージーランドで導入されて以来、イギリス、カナダ、オーストラリアなどの主要国を含め20ヶ国以上で実施されています。ただし、ドルや円、ユーロなどの主要通貨を持つアメリカ、日本、ユーロ圏では導入されていません。
現在、アメリカの連邦準備制度理事会(FRB)には、インフレ目標推進派のB・バーナンキ議長がいます。学者時代から大不況を克服する重要政策は金融緩和にあることを主張しており、日本のバブル崩壊後の金融政策に関しても批判を展開している方です。
バーナンキ議長は、24日から25日にかけて実施される連邦公開市場委員会(FOMC)において、前月に協議した「金融政策の長期目標と政策戦略に関する声明」に関する草案をさらに踏み込むことが予想されています。
そのため、アメリカの主要メディアでも日増しに注目が高まっています。ただし、共和党の保守派勢力からは、バーナンキ議長の「過剰な」金融政策がインフレを引き起こす懸念があることを批判され、金融緩和第三弾(QE3)を実施する時期が未定でした。
こうした批判に対して、具体的なインフレ目標値を導入することによってインフレ懸念を抑え込み、QE3実施に道筋をつける目論見があるとも考えらます。
現時点(日本時間1月25日18時時点)では、詳細は出ていませんが、もしアメリカがインフレ目標値を導入したらどうなるかを考えてみたいと思います。
結論は簡単です。FRBがインフレ目標値導入と金融緩和に踏み切ると予想したならば、ドルの供給量が増えるわけですから、物価水準が上昇=インフレ傾向となり、同時にドルの相対的な価値が他の通貨に対して下がります。
言い換えれば、「円高ドル安」になるということです。加えて、日本政府は増税路線を鮮明にしていますし、日銀はインフレ目標や国債の日銀直接引受などの大胆な金融緩和を否定しているので、日本経済はデフレが定着すると予想ができます。
その結果、円の価値が高止まりする可能性が出てくるのです(インフレ目標値の是非や上記のメカニズムをもっと知りたい方は、『日本経済再建宣言』のついき党首が担当した第二章を参照のこと。また、より詳しく知りたい方で入門的な解説書は、岩田規久男著『デフレと超円高』講談社現代新書や『ユーロ危機と超円高恐慌』日経プレミアシリーズを参照)。
日本経済はデフレと円高問題に苦しんでいるのなら、政策としては「金融政策」を割り当てるのが筋です。特に、アメリカでは不況打開策として金融緩和をしてドル安へと誘導するわけですから、輸出企業を数多く抱える日本にとってはなおさら対策が必要とされます。
よって、政府は日銀の白川総裁に一層の「金融緩和」を迫るべきです。幸福実現党としては、長期国債の買い切りオペや日銀の国債直接引き受け、量的緩和の拡大などを行い、過度なインフレにならないようにインフレ目標の導入も併せて提言しています。
アメリカがやるから日本もやるといった単純な議論ではなく、既に昨年から「日本再建宣言」の一環として、デフレ脱却と震災復興の打開策として打ち出しているものです。
現状を見ると、本来ならばアメリカではなく、日本においてインフレ目標を含めた金融緩和策が議論されなければいけません。日銀の白川総裁は、いったい何をしているのでしょうか。
幸福実現党としても、現在の日銀の金融政策に断固軌道修正を求めていきます。(文責・中野雄太)
☆゜・*:.。. .。.:*・゜
にほんブログ村 にほんブログ村 幸福の科学